目次
批評の目標
美術についての論述は、以下の2つのうちの1つ、あるいは両方を目指している。
① 作品についての情報を与える
② 作品についての筆者の考えを説得する
① 情報を与える
作品(料理)の背景情報を読者に伝えます。
解釈の多様性のあまりない、「事実」を伝えます。
オーデンの批評の機能の[1]、「知られていない作品の紹介」では、この情報を与えるという目標が重視されるでしょう。
② 説得する
筆者の思いや考え、解釈、分析の内容を読者に伝える。
①「情報を与える」と②「説得する」はグラデーションであり、はっきりと区別することはできない。
情報を説得的に書くのもテクニックであり、個人的な解釈を、情報のように筋立てて書くことも時には求められる。
「情報」と「説得」の実例
プロの記述例として、ミシュランガイドの例を見てみよう。
料理と日本酒の相性を楽しんでもらえるよう、趣向を凝らした献立が魅力。様々な酒肴が小皿で供されるコース。流れに抑揚があり濃淡の味付けで変化に富み飽きさせない。ツガニのスリ流しを添えた茶碗蒸しや、サワラの味噌漬けなどは旬の味覚。和食の技を生かした調理法でもてなしてくれる。
やまさん | ミシュランガイド福岡
情報を青マーカーで、説得を黄色マーカーで引いてみる。
料理と日本酒の相性を楽しんでもらえるよう、趣向を凝らした献立が魅力。
様々な酒肴が小皿で供されるコース。
流れに抑揚があり濃淡の味付けで変化に富み飽きさせない。
ツガニのスリ流しを添えた茶碗蒸しや、サワラの味噌漬けなどは旬の味覚。
和食の技を生かした調理法でもてなしてくれる。
飲食店の紹介では、基本的には、どういう店で、店主がどういった人で、どういう料理が出されるか、というのが「情報」にあたる。
こうした情報を踏まえて、何が魅力か、どんな味か、料理にどのような価値があるのか、どのような気持ちになるのかを説得していく。