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What to write in your critique | 批評に何を書くか ① 情報と説得

底本:『美術を書く』シルヴァン・バーネット

目次

批評の目標

美術についての論述は、以下の2つのうちの1つ、あるいは両方を目指している。

① 作品についての情報を与える

② 作品についての筆者の考えを説得する

情報を与える

作品(料理)の背景情報を読者に伝えます。
解釈の多様性のあまりない、「事実」を伝えます。

「この作品は2005年に書かれた。」
「このラーメンは動物系の出汁である。」
「この日本酒の水は利根川の伏流水である」
「店主は10年間、日本料理の名店で修行した。」

オーデンの批評の機能の[1]、「知られていない作品の紹介」では、この情報を与えるという目標が重視されるでしょう。

② 説得する

筆者の思いや考え、解釈、分析の内容を読者に伝える。

「ガーリックパウダーが鼻の奥を刺激する」
「イカの握りは、淡泊ながら、寝かして旨みを引き出した丁寧な仕事ぶりがうかがえる。」
「カウンター席ならではの店主との会話も楽しい」

①「情報を与える」と②「説得する」はグラデーションであり、はっきりと区別することはできない。
情報を説得的に書くのもテクニックであり、個人的な解釈を、情報のように筋立てて書くことも時には求められる。

「情報」と「説得」の実例

プロの記述例として、ミシュランガイドの例を見てみよう。

料理と日本酒の相性を楽しんでもらえるよう、趣向を凝らした献立が魅力。様々な酒肴が小皿で供されるコース。流れに抑揚があり濃淡の味付けで変化に富み飽きさせない。ツガニのスリ流しを添えた茶碗蒸しや、サワラの味噌漬けなどは旬の味覚。和食の技を生かした調理法でもてなしてくれる。

やまさん | ミシュランガイド福岡

情報を青マーカーで、説得を黄色マーカーで引いてみる。

料理と日本酒の相性を楽しんでもらえるよう、趣向を凝らした献立が魅力
様々な酒肴が小皿で供されるコース
流れに抑揚があり濃淡の味付けで変化に富み飽きさせない
ツガニのスリ流しを添えた茶碗蒸しや、サワラの味噌漬けなどは旬の味覚
和食の技を生かした調理法でもてなしてくれる

飲食店の紹介では、基本的には、どういう店で、店主がどういった人で、どういう料理が出されるか、というのが「情報」にあたる。
こうした情報を踏まえて、何が魅力か、どんな味か、料理にどのような価値があるのか、どのような気持ちになるのかを説得していく。

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