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令和6年1月30日

福島宙輝 Hiroki Fxymaです

略歴

慶應 博士課程
九州女子大学 専任講師
台南応用科技大学 講師
2023年9月〜 現職

研究内容

味の美学(賞味経験の探索的な記述方法)
知能研究、認知言語学、認知科学

学会:人工知能学会、認知科学会

業務内容

IR、DX
Web管理
認知科学の教育研究
数値化・言語化しづらい学生の能力の評価方法の提案

目次

研究目標:視覚偏重、眼の支配を打破する

科学においても、美学・哲学においても、視覚の優位性が強調されてきた

ほかの感覚は私たちと世界を結びつける一方で、視覚は私たちと世界を隔てる

『建築と触覚』ユハニ・パッラスマー

味を表現している背景にある視覚の支配

視覚と異なり味覚や嗅覚は階層的な認知をしていないので,
分類学的な構造よりも感覚に寄り添った形式があるはず

味覚には味覚の体系が必要

認知科学を先導する美学

味の科学的分析は「食べる」経験の分析にはならない
センサーで「測る」だけではわからない

何かを「味わう」という経験がどういうものかの理論が無いと、「食べる」「味わう」「賞味する」という経験の分析ができない

認知科学で人が「食べる」経験を扱うために、美的経験や鑑賞といった美学の理論を参照しています

たとえばピザは持ち方によって「経験」が変わる
(機械で分析したら当然同じ「味」)

こうした経験の差異はどのように分析できるのか?

時間性に注目

「食べる」は4つの時間相で構成されている(Fxyma, 2023)
・無時間(時間が意識されていない)
・線時間(不可逆で一方向)
・円時間(反復し,循環する鑑賞)
・点時間(すべてが同時に同空間に現れる,凝縮した時間)

線形時間:握り寿司
・「寿司は左から食え」
・不可逆で反復のない時間

円環時間:ちらし寿司
・具材の順序が先験的に決まっていない

点時間:巻き寿司
・すべての要素が同時に,同空間に現れる

(無時間)
・ シャリだけ,サーモンだけとか

詳しくは↓

言語表現の研究

味の言語表現の2つのモード

・評価、分析のための表現
・発見、探索のための表現

ことばの意味は対象やコミュニティに依存する

透明な

一般辞書
すきとおって向こうがよく見えること。また、そのさま。「―なガラス」
すきとおって、にごりのないこと。また、そのさま。「―な音」「―な空」

透明な酒質(日本酒)

透明感のあるコーヒー

日本酒の文脈の共起関係を調べると

普通の辞書には載っていない 透明な の意味

主に甘味清らかさを表す[3, 4, 5, 6]。
甘みのなかでも、白い砂糖[7]のような甘み。(黒砂糖[37]は香ばしい甘さ)

清涼感[28]や清流[14]のイメージ。「薄い[14]」の婉曲的な表現として使われる。
「あっさり」「軽い[25]」「淡い[31]」などと相性が良い。

それぞれの言葉には役割がある

この分析をもとにすると、味わい用語の事典を作ることができます。
「透明な」の例はこちら(noteにリンクします)

なぜことばにするのが難しいのか

1.ことば(単語)の不足 (言語による)
2.認知能力の不足 (個人による)
3.味わうことへの理論、思想が無い (どうしようもない)

人類は、まだ味わい方を知らない

例えば「時間性」が大事だということが理論化されていない

「味覚センサーには時間性がない」
「AIは人間の味わいを理解できない」
だけど…

❌ センサーが未発達、分析方法が未発達 (科学レベルの原因)

✅ 時間が大事だと理解していない。味の時間的性質 Temporality を科学者が知らない。

味わうとはどういうことか?に関する思想の不足
技術の不足ではなく、技術や科学を先導する哲学の不足

パフェをミキサーでごちゃまぜにするのは、全部の音を一気に鳴らして「分析」するようなもの

さすがにダメだと分かる

音楽ならどうするか
→ 拠り所となる音楽の時間理論がある(思想)
→ 何を分析したら良いかが分かる  (科学)
→ 具体的な作品の分析

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