教育経験の紹介
授業担当科目
九州女子大学共通教育機構において(各 2 単位、2017 年~2021 年)
人間科学部(図書館情報学、国語科教員養成)
家政学部(管理栄養士養成)
- 情報処理演習 I, II
- 情報と職業
- 情報文化論
- データ処理論 (統計、プログラミング)
- データ処理演習(統計、プログラミング)
- キャリアデザイン I, II, III, VI
Tainan University of Technology において(各 2 単位、2021 年~2023 年)
- Food Aesthetics
- Japanese for Food & Beverage services
- Basic Japanese
- Color Theory
- Food & Beverage Consumer Behavior
- Beverage and Mixology
- Campus Internship
- Off-campus Internship
- Workplace Ethics
- Industry Development Trend and Career Planning
非常勤講師
目白大学 情報活用演習 (各 2 単位、2016 年~2017 年)
甲南大学 プログラミング科目 (2024 年度秋学期~)
学内委員歴
- 情報システム委員 (新規 LMS の導入、学内ネットワーク管理)
- 教務委員 (シラバス改革、非常勤講師との授業運営、時間割編成)
- 広報委員 (教学IR、学生募集)
- 国際委員 (留学生担当)
- 互助会委員
現在の業務内容
教養教育院開講科目コーディネート
「教養とは何か」「多言語と多文化の世界」
大学教育推進機構のWEB管理
2025年度新サイトの開発、デザイン
旧サイト https://www.iphe.kobe-u.ac.jp/general-education-courses/index.html
その他
- 紀要編集委員
- 教学IR(学習成果の可視化)
- 全学IR(大学院改革)
研究の紹介
遂行中の科研費課題
味覚・嗅覚の美的体験を記述する方法論のデザイン:美学新領域の創出 (分野:デザイン学)
感性情報学、感性言語工学、コーパス意味論
・ 味と香りの現象学的な認知モデル
・ 意味論(意味づけ論)、メタファ研究
・ 感性的な意味の自然言語処理
・ 非言語表現の研究(形や絵による感性表象の定量的分析手法)
・ オノマトペの意味論(文脈に依存するオノマトペの意味分析、コーパス、自然言語処理)
・ 日本語教育(LSP:特定目的のための言語教育)
味と香りの美学、記号論
・ 味の美的用語理論(美的質を表す言葉の意味を共起関係から明らかにする)
・ 味の美的鑑賞理論(現象としての時間理論)
2026年度科研費課題(応募中:基盤B/萌芽)

研究の概要
オノマトペの意味機能分析
動詞による言語表象支援
文脈とドメインに依存した形容詞(美的用語)の語義定義
コーパス内共起関係によるフレーバーホイールの再開発
抽象図形の特徴量によるクラスタリングと、マルチモーダル表象の成分分析による相関分析
共同研究、研究協力
共通する課題
成分分析だけでは測れない、人間の主観的な嗜好性を定量的に測り、製品開発につなげる手法が求められている
領域や文脈に依存した言語の意味の分析手法
オノマトペの意味機能分析
福島宙輝, 田中茂範. (2016). 味覚表現における音象徴語の使用原理. 人工知能学会誌, Vol. 30, No.6.
Fukushima, H., Imai, M., & Tanaka, S. (2017). The Usage Mechanism of Japanese Ideophones in the Description of Taste: Morphological and co-occurrence analysis of the description of wines and sakes. International Journal of Computational Linguistics Research, 8(3), 109–122.
オノマトペの機能
一般的なオノマトペの分析
音韻論:「特定の音が特定の心象を喚起する」 (例)Sara Sara vs Zara Zara
→「濁音が摩擦を象徴する」など
形態論:「繰り返しなどのパターンが持つ意味がある」 (例)くるっ vs くるくる
→ 「っ」は動作完了を示している
同型反復は動作の反復性に動機づけられている,など



オノマトペを含む文に現れやすい語の特徴 (Fukushima 2017)
「味わいの最初と最後」
「出現と消失」
「具体的な味ではなく上位カテゴリの表現」
「状態や様態ではなく経時的変化点を表現する]
対象やコミュニティに依存した、語の意味を分析する
Fxyma, H. (2022). Clear Is Sweet: Defining Aesthetic Sake Taste Terms with a Usage-Based Approach. In The Language of Food in Japanese. Cognitive perspectives and beyond, edited by Kiyoko Toratani, Converging Evidence in Language and Communication Research, 25: 192–230. Amsterdam: John Benjamins Publishing Company.
(業績2)
透明な
一般辞書
すきとおって向こうがよく見えること。また、そのさま。「―なガラス」
すきとおって、にごりのないこと。また、そのさま。「―な音」「―な空」
透明な酒質(日本酒)
透明感のあるコーヒー
ことばの意味は、通底する部分をもちつつもジャンルやコミュニティによって異なる
感性的なことばの動的な性質を分析したい
仮説
文脈における語の意味は共起語から推測できる
分析手法
日本酒の表現をコーパス化する(12万語レベル、Type: 6,080 / TTR 20.07 / Paragraphs (銘柄) 2,388)
共起関係を分析
前処理
テキストクレンジング
複合語の検出、専門用語のタグ化
1銘柄の記述を1段落としてデータ化
KWIC(キーワードコンコーダンス)で日本酒の文脈の共起関係を調べると
「透明な」の共起語(文の中で左右に出てきやすい単語)

普通の辞書には載っていない 透明な の意味

・感性的な語の動的な意味を共起関係から捉える
・言語使用依拠モデル
メタフォリカルな表現のコミュニティ拡張

それぞれの言葉には役割がある

非言語的表象:味イメージの描画生成課題の開発
感覚を言語化することが困難とされる味覚について,言語によらない美的体験のアウトプット(美的鑑賞)として,味のイメージを非言語表象で表現する方法を開発しています.
従来,味のイメージを問う心理実験は,強制選択式により行われてきました.

本研究は被験者が感じた味わいを描画によって表す生成式の課題を特徴とします.

この研究は科研費課題として進行中ですが,パイロット研究の結果として,日本酒の味に関して下のマトリックスに表されるような,味と形の対応関係が示されました.
結果の詳しい解釈はこの論文に書いています.

味と香りの言語化支援、表現支援
フレーバーホイールの再発明
味の表現支援の一つの取組みとして,「フレーバーホイールの再発明」を行っています.
従来のフレーバーホイールは,[果実→シトラス→レモン]といような従来の分類学的かつ階層的な構造でした.

しかし視覚と異なり味覚や嗅覚は階層的な認知をしていないので,
分類学的な構造よりも感覚に寄り添った形式があるはずです.
そこで提案したのは,日本酒の味を言葉で表現した文書に出てくる単語の,
共起関係のネットワークをもとにした新たなフレーバーホイールです.
共起関係が強いということは,似たような性質の香りということですので,
「桃の香りがした」と思ったときにその周りの語を見てみると,さらに適切な表現が見つかるかもしれないという仕組みになっています.
ネットショッピングで見かける,「こんな商品もいかがですか」の仕組みに似ていますね.



日本酒味わい関係図式
「日本酒味わい関係図式」の研究は,動詞に着目した言語化支援の取り組みです.
動詞は動きや様子を表すので,事典のような言葉での説明よりも,視覚的に表現したほうがわかりやすいです.
ということで,味の感覚と言葉を橋渡しする中間言語としてのイメージ図式を提案しました.
「日本酒味わい関係図式」は動詞概念を2次元の抽象スキーマ図にしたものです.
それぞれの図は動詞のグループを図にしたもので,味わいのイメージを図で探すと,ぴったりな動詞が見つかるという仕組みになっています.
この研究は,味覚言語化の支援方略として媒介的記号を用いる言語工学的手法が評価され,
人工知能学会研究会優秀賞(JSAI Incentive Award)を受賞しました.


味覚の美学|味わいの鑑賞と記述の理論
研究課題
「味わう」エージェント、マルチモーダルLLMの工学的実現に向けた、主観的な現象としての味の認知モデルを提案する
対象としての食品、料理のアーカイブ ▶ 食べる経験のアーカイブ
いちごパフェ いちごの皿デザート
握り寿司 海鮮丼
機械で測ったら「同じ味」だが、経験としては異なる
どのように、説明、記述できるか(鑑賞と批評の方法論)
どのように、センサーとして実装できるか
どのように(味、レシピではなく)食べる経験をアーカイブできるか
味や香りに関しては人間を超えるレベルのセンサーはあるものの、「味わうAI」は実現されていません。
問題はセンサーの能力不足ではなく、味や香りを説明する思想・哲学の不足
味わうAI実現のためには、まず人間の「味わう」経験とはどのようなものか、
主観的な経験を説明しなければならないと考えています。
味の科学的分析は「食べる」経験の分析にはならない
センサーで「測る」だけではわからない
何かを「味わう」という経験がどういうものかの理論が無いと、「食べる」「味わう」「賞味する」という経験の分析ができない
認知科学、知能情報学で人が「食べる」経験を扱うために、美的経験や鑑賞といった美学の理論を組み立てています
機械で分析したら同じ「味」ですが…
たとえばピザは持ち方によって「経験」が変わる
握り寿司と海鮮丼は異なる「経験」
こうした経験の差異はどのように分析できるのか?
たとえば:時間性に注目
いままで食べることの「時間性」の理論は存在していませんでしたが、
時間の観点を導入することでより精緻に喫食経験を記述することができます。
「食べる」は④つの時間相で構成されている
・無時間(時間が意識されていない)
・線時間(不可逆で一方向)
・円時間(反復し,循環する鑑賞)
・点時間(すべてが同時に同空間に現れる,凝縮した時間)
線形時間:握り寿司
・「寿司は左から食え」
・不可逆で反復のない時間
円環時間:ちらし寿司
・具材の順序が先験的に決まっていない
点時間:巻き寿司
・すべての要素が同時に,同空間に現れる
(無時間)
・ シャリだけ,サーモンだけとか






人類は、まだ味わい方を知らない
「味覚センサーには時間性がない」
「AIは人間の味わいを理解できない」
だけど…
❌ センサーが未発達、分析方法が未発達 (科学レベルの原因)
✅ 時間が大事だと理解していない。味の時間的性質 Temporality を科学者が知らない。
味わうとはどういうことか?に関する思想の不足
技術の不足ではなく、技術や科学を先導する哲学・文化研究の不足