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日本酒で学ぶ「人間の知」

2025.11.28 [Shared]

招待講演 @ 名古屋鉄道 MOLAL

自己紹介

福島宙輝 Hiroki Fxyma

神戸大学 大学教育推進機構 教養教育院 特命助教

所属歴¦慶應義塾大学 Ph.D. ▷ 九州女子大学 ▷ Tainan University of Technology ▷ 神戸大学

研究分野¦感性情報学、味覚の美学、認知言語学、記号論

味覚、嗅覚の美学、美的な鑑賞と批評理論について、情報学の観点から研究を行っています。
専門は意味論、記号論、認知言語学、知能・感性の情報学、認知科学の周辺領域です。
テキスト・マイニングによる味覚表現の言語分析や、味覚の非/言語的な表現・学習支援を研究しています。

目次

体操

口と鼻の構造を理解する体操

ちょっと教養

バウハウスで教鞭をとっていたヨハネス・イッテン(色相環を開発した人)

彼は建築の授業の最初に体操をしていたようです。
精神主義的な方針がカリスマ的に支持を集めるも、イッテンに傾倒した学生が次々に丸刈りにしていく姿に恐怖を覚えた校長グロピウスによって、後にバウハウスを解雇されました。

飲んでみましょう

#人類がまだ知らない味

鼻の穴を“モノラル”で使っていませんか?

2つの目は距離の知覚、2つの耳は方向の知覚に役立っていますが、鼻の2つの穴は何のためでしょうか?

香りを“ステレオ”として感じていますか?

ちょっと教養 【知覚】

知覚の2つのモダリティ
・凝視、静の知覚
・動きの知覚、運動の知覚

例えば机のざらつきは、指を乗せただけではわからない
指を動かすことではじめて知覚できる感覚

動きの知覚としての香りを感じてみましょう

どうやって?

ここからは現場のワークで…

何のために言葉にするんですか?

正解探しのテイスティング:ことばの権威化と体験の矮小化

権威化と正解探しの行き着く先: 味わう経験 < AIによる科学的なセンシング

もっと自由で民主的なテイスティングを!

フロアに聞いたお酒の印象

蓬莱泉 和 熟成生酒
奥 試験醸造酒
敷嶋 多重奏
金虎 純米吟醸 虎変
孝の司 純米吟醸にごり生原酒 冬あかり

ことばの「外側」、違和感に気づくためにことばにする
「りんご」と一旦言ってみて、そのことばで捉えられていないものに意識を向ける

(脱線)フレーバーホイールはなぜ無益か

フレーバーホイールは、香りの分類と分析のためのツール。
言語化の支援ツールではない

隣あうカテゴリ配置に意味がない
=フルーティの隣がナッツ、反対側が土の香りである配置に意味がない
(参考)色相環は、青の隣が緑、青の反対が黄色という配置に意味がある

サークル(円)構造に特に意味がない(見やすい?)

フレーバーホイールの階層的構造(ツリー構造)は、味覚の認知特性と合わない

複数の香りを探す作業に向いていない

香りの「姿が見えている人」が、その香りの名前を知るためのツールとしてはGOOD

アーカイブとしての日本酒

日本酒=ZIPファイル

土地、歴史、川、山、米、農家、産業、運輸…

酒を呑むこと:ZIPファイルを展開してアーカイブをひもとくこと

今日のお酒は…

地図作成:「全国Q地図

ちょっと教養:なぜ濃尾平野に酒蔵が集結しているのか?

(参考)地下水マップ
https://nlftp.mlit.go.jp/kokjo/inspect/landclassification/water/w_national_map_cw.html

(参考)愛知の味噌蔵における塩、大豆
https://www.mizu.gr.jp/kikanshi/no25/04.html

新潟駅「ぽんしゅ館」のつまらなさと、名古屋駅への期待

日本酒の蛇口を大量にならべる
アーカイブの1種だが、、

たとえば愛知県のジオラマ、鉄道がどことどこを繋いで、何を運んでいるのか
どこで米ができて、どこで塩と大豆ができて(味噌)、水がどこから流れてて、どんな人がいて

そういった「縮図」としての酒を呑みたい

↑ぼくがかんがえた さいきょうの ぽんしゅ館
(プロジェクションマッピングで実現したい)

100円玉じゃなくて、米を地下水に入れたら酒が出てくる、ロマンあふれるジオラマ

そんなかんじでちょっと飲んでみませんか

状況と環境に埋め込まれた認知

人間の知覚とAIのセンシングの違い

・人間の知覚は状況と環境に埋め込まれている

・味わいは「出来事」(モノじゃない)

・その場、いま、ここで「生起する」もの、味わいは構成するもの

・「この身体とこの色で生き抜いてきた私」が感じるWAO! が、味わい

(色眼鏡の「色」=ものの見方、主観バンザイ)

・経験、身体、記憶のないAIには、味わいは分からない

・「客観的」「正しい」味などない

正しい知覚じゃなくていい、正解の言語化じゃなくていい

味 ≠ 味わい

以上、福島宙輝でした!

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