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5分でざっくり研究がわかる2本
① 味の言語・非言語表現について 「認知的コンテンツ生成への招待」
② 味の美的鑑賞(時間性)について 「賞味の知能研究」
Selected Papers
- Fxyma, H. (2024). The Temporality of the Aesthetic Appreciation of Food and Beverages. Contemporary Aesthetics.
- Fxyma, H. (2022). Clear Is Sweet: Defining Aesthetic Sake Taste Terms with a Usage-Based Approach. In The Language of Food in Japanese. Cognitive perspectives and beyond, edited by Kiyoko Toratani, Converging Evidence in Language and Communication Research, 25: 192–230. Amsterdam: John Benjamins Publishing Company. [PDF]
- Fxyma, H. (2018). A Phenomenological Model for Generating the Tasting Description of Japanese Sake. In T. Ogata, & S. Asakawa (Eds.), Content Generation Through Narrative Communication and Simulation (pp. 265-285). Hershey, PA: IGI Global. [PDF]
- Fxyma, H., Imai, M., & Tanaka, S. (2017). The Usage Mechanism of Japanese Ideophones in the Description of Taste: Morphological and co-occurrence analysis of the description of wines and sakes. International Journal of Computational Linguistics Research, 8(3), 109–122. [PDF]
- 福島宙輝, 田中茂範. (2016). 味覚表現における音象徴語の使用原理. 人工知能学会誌, Vol.30,No.6. [PDF]
- 福島宙輝.(2020).認知的コンテンツ生成への招待:味覚の多相的なコンテンツ生成の研究事例紹介,小方孝 (編)『ポストナラトロジーへの招待』,新曜社.[PDF]
Aesthetics|美学
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Fxyma, H. (2024). The Temporality of the Aesthetic Appreciation of Food and Beverages. Contemporary Aesthetics.
本研究では、基本的な鑑賞理論が無かった食の美的鑑賞について、その時間的性質を現象学的に記述し、多様な料理を横断的に説明しうる分類を示した。まず食品自体がもつ「対象の時間」(ビンテージなど)、次に学習を含む「認知の時間」、さらに「現象の時間」(非物理的な心の時間)の3つがあることを提示した。さらに、現象の時間は線型時間、円環時間、点的時間、非時間の4つの時間性に分類されることを示した。ただしこれらの時間性は食品に固有な、先験的に決定される性質のものではなく、食べる者の注意と態度によって生成されると考える点が本理論の特徴である。すなわち、巻き寿司も注意によって海苔と具材の線形時間になりうるし、時間を意識しなければ握り寿司もパフェも無時間となりうる。
この研究は、従来美学で無視されてきた味や香りに光をあて、飲食物を美的鑑賞の対象として取り上げるための基礎を提供する画期的なものである。また、「味わう機械」の工学的実現に向けては、センサで測れば同値となるような、構成要素が同じ食品(握り寿司と海鮮丼)が異なる食経験をもたらすことを、時間性を視座として説明可能とし、より感性に沿うセンシング(インテリジェントセンサ)の基礎理論を提供する。
| 特徴 | 例 | |
| 線時間 | 不可逆で反復のない、一方向の時間 | 握り寿司、コース料理 |
| 円時間 | 具材の順序が先験的に決まっておらず、反復的に現れる | ちらし寿司、海鮮丼、インドカレー |
| 点時間 | 全ての要素が同時に、同空間、等距離に現れる凝縮したマンダラ的時間 | 巻き寿司、餃子、春巻き |
| 無時間 | 時間が意識されていない(≠非時間) | サーモンづくし |
Fxyma, H. (2022). Clear Is Sweet: Defining Aesthetic Sake Taste Terms with a Usage-Based Approach. In The Language of Food in Japanese. Cognitive perspectives and beyond, edited by Kiyoko Toratani, Converging Evidence in Language and Communication Research, 25: 192–230. Amsterdam: John Benjamins Publishing Company. [PDF] The Language of Food in Japanese: Cognitive perspectives and beyond
味覚の美学的議論を可能にするための素地として、本論⽂では味覚に関するAesthetic Terms(美的性質を記述する用語)の定義⽅法を日本酒の表現コーパスを事例に論じた。味の表現は名詞による要素列挙が基本とされてきたが、本研究では美的質を内省的に表現するための動詞、形容詞及び形容動詞(用言)に着⽬した。定義の方針は、語の辞書的な意味を扱うのではなく文脈において展開される意味を問う「百科事典的意味論」に立脚した分析である。そのための新規手法として、用言語彙の文脈依存的かつ動態的な意味をコーパス内の共起関係から定義する⼿法を提案した。結果の⼀例として、日本酒の表現では「透明な」という語が香りではなく味、とりわけ⽢みを専属的に修飾することなど、辞書的な意味を超えた語の定義を導出した。また「ふくよか」という語が(花などではなく)米の香りを指すこと、「太い」が旨味の豊かなさまを示すという業界用語として共通認識のある言葉の意味を共起関係からアブダクション的に導出することに成功した。
さらに論文後半では、こうした形容詞が字義通り「太い」からメタフォリカルに「度合いの強さ」を示し、更に特定の業界やアートコミュニティにおける言語使用によって例えば日本酒では「旨味の強さ」に固定化(entrenchment)されていく語義拡張のモデルを示した。
本研究によって、美的用語の整備されていないアートジャンルにおいてコーパスを用意することで用語の特徴的な意味が推論できること、さらにその語義拡張を認知言語学的なモデルによって分析することが研究課題となりうることが示された。
Fxyma, H. (2020). Defining the Verbs for “Understanding and Interpretation” of Japanese Sake, In T. Ogata (Eds.), Bridging the Gap Between AI, Cognitive Science, and Narratology with Narrative Generation. (chapter 4). Hershey, PA: IGI Global. [PDF] Defining the Verbs for “Understanding and Interpretation” of Japanese Sake
Cognitive Semiotics|認知意味論
Fxyma, H. (2019). Producing a Mental Representation of a Cup of Sake: A Comparison of Experimental Methods and a Tool for Generating Cognitive Content. In T. Ogata, & T. Akimoto (Eds.), Post-Narratology Through Computational and Cognitive Approaches (pp. 430-448). Hershey, PA: IGI Global. [PDF]
Fxyma, H. (2018). A Phenomenological Model for Generating the Tasting Description of Japanese Sake. In T. Ogata, & S. Asakawa (Eds.), Content Generation Through Narrative Communication and Simulation (pp. 265-285). Hershey, PA: IGI Global [PDF]
福島宙輝. (2020). 認知的コンテンツ生成への招待:味覚の多相的なコンテンツ生成の研究事例紹介, 『ポストナラトロジーへの招待』, 小方孝 編, 新曜社. 「PDF」
福島宙輝. (2016). 味わいを豊かにすることば」, 『ふわとろ−シズルワードの現在』 大橋正房 編, pp.196-205, BMFT出版.*
福島宙輝. (2017).「味わいの表現論」, 『おいしさの科学とビジネス展開の最前線』, 都甲潔 編, シーエムシー出版. *
Ideophones / Onomatopoeias|オノマトペ、音象徴
Fxyma, Hiroki. “The Roles of Sound Symbolisms in the Tasting Descriptions.” Transactions of the Japanese Society for Artificial Intelligence 31, no. 6 (2016): AI30-N_1-8. https://doi.org/10.1527/tjsai.AI30-N.The roles of sound symbolisms in the tasting descriptions
Fxyma, Hiroki, Mutsumi Imai, and Shigenori Tanaka. 2017. “The Usage Mechanism of Japanese Ideophones in the Description of Taste: Morphological and Co-Occurrence Analysis of the Description of Wines and Sakes.” International Journal of Computational Linguistics Research 8 (3): 109–22.
形態論はオノマトペ研究における最も基本的なテーマの一つであるが、味覚の記述におけるオノマトペの形態論を調査した先行研究はほとんどない。本研究では、ワインと日本酒の味覚説明におけるオノマトペ(音象徴語)を定量的テキスト分析と形態素解析を用いて検討し、音象徴表現が感性的な記述においてどのように機能しているかを分析した。
味わい表現コーパスにおけるオノマトペの共起傾向として、筆者の先行研究(福島2016)ではオノマトペは、特に日本酒では味の「出現」や「消失」を表現するために使用されることを示した。この結果は、オノマトペが比喩的に味覚と聴覚の領域を結びつけ、味覚表象のなかでも曖昧な部分(例えば味そのものではなく、出現や消失といった変化のプロセス)を表現していることを示唆している。
これらの知見に基づき、本研究では味記述におけるオノマトペの形態的特徴を、日本語均衡書き言葉コーパスBCCWJとの定量的な比較によって分析した。結果として、まず味コーパスでは、一般的な文書に比べてオノマトペが有意に高頻度で使用されることが確認された。次に、オノマトペの中でも擬音語は、擬態語よりも有意に少ないことが示された。したがってオノマトペは味表現で多用されるが、口の中で聞こえる音そのものを表すのではなく、味の感じ方を表現していると考えられる。このオノマトペの機能をさらに明らかにするため、オノマトペの形態(語基とパターン)を分析した。
結果、味コーパスに出現するオノマトペの語基の音韻間には有意な差異は認められなかったものの、パターンにはいくつかの特徴が見出された。反復型(CV CV’ – CV CV’ [eg., huwa-huwa]およびCVrV– CVrV[suru-suru])はBCCWJに有意に多く出現し、(b)二重子音パターン(CV CV’ッ[huwaQ] および CV rVッ[kiriQ])は試飲コーパスに特徴的であった。この特徴は、オノマトペは味わいの連続的な状態や様子よりも、味の転換点や区切りを表現する傾向があることを示唆している。
Fxyma, Hiroki. “The Usage Features of Onomatopoeias in the Recipes in Japanese.” the Conference on Artificial Life and Robotics 2019 (ICAROB 2019), Oita, 2019.
Fxyma, H, Tanaka, S. (2015). The form-masking method for analyzing the semantic function
of sound symbolism in the discourse text of Japanese sake, IJCAI-15, International Joint Conference on Artificial Intelligence, Buenos Aires, Argentina
Fxyma, H. (2016). The Roles of Onomatopoeias in the Contexts of Tasting Descriptions. IJCAI-16, International Joint Conference on Artificial Intelligence, New York, U.S.A.
福島宙輝、田中茂範. (2016). 味覚表現における音象徴語の使用原理, 『人工知能学会誌』, 31, (6).
味覚は、言語が対象領域をストレートに捉えられないという、知能研究における記号接地問題の好例である。著者らは、比喩表現に関連性を見出すプロセスとしての類推が、味覚領域における記号接地問題への対処の鍵となることを主張する。本研究では、ワインと日本酒の味を表現するケースとして音象徴を取り上げ、ワインと日本酒の説明において音象徴表現がどのように機能しているかを示すために、ワインと日本酒の表現を収集し、定量的な共起分析を行った(ワインテキストの語数:201,294語、日本酒の語数:50,147語)。結果として、2コーパスの類似点と相違点の両方が示された。類似点として、音象徴語は味質を指す一般的で抽象的な言葉の表現力を高める手段として用いられていることが示された。一方、相違点として、日本酒では味が舌に出現したり消失したりする段階での音象徴の使用が支配的であったのに対し、ワイン表現では、豊かな味質の複雑な差異を表現するための修飾語としての音象徴的の機能が有意であった。音象徴の機能の違いは、ワインと日本酒のテイスティングの仕方の違いに対応していると推測される。
Education Studies | 大学教育・言語教育
福島宙輝.(2024). 2025年にむけた生成AIへの大学の対応 -国立大学指針の分析と情報セキュリティの提示方法の提案-, 『大学教育研究』, 32, 89-108.
Fxyma. H. (2024). Generating Language Learning Content from YouTube Videos Based on Learners’ Interests, Journal of Robotics, Networking and Artificial Life, 10, (3).
国内学会発表 〈査読なし〉
- 福島宙輝. (2024). 賞味の知能研究:知と視覚の支配からの独立, 『人工知能学会全国大会論文集』.
- 福島宙輝. (2023). おいしいを構成する食べ方: 構成主義的情動理論の検討. 人工知能学会第 2 種研究会資料, vol. 72.
- 福島宙輝. (2023). 特定目的コーパスを用いた言語教育における重点指導語彙の選定; 飲食系日本語教育におけるレシピコーパスの活用. 人工知能学会第 2 種研究会資料, vol. 71.
- 福島宙輝. (2023). パフェとアシェットデセールの時間的構造の分析に向けて. 人工知能学会第 2 種研究会資料, vol. 70.
- 福島宙輝. (2022). 酒を飲んで何を書けばいいのか. 人工知能学会第 2 種研究会資料, vol. 69.
- 福島宙輝. (2022). 味わいの鑑賞における重層的な輪廻の時間. 人工知能学会第 2 種研究会資料, vol. 68.
- 福島宙輝. (2022). 味わうの時間的諸相. 人工知能学会第 2 種研究会資料, vol. 67.
- 福島宙輝. (2021). ビフテキとトンカツとノイヤールスブレッツェル ―世界の祝祭食における記号とメタファ―. 人工知能学会第 2 種研究会資料, vol. 65.
- 福島宙輝. (2020). 透明は甘い: 日本酒表現用語を意味づけ論と使用依拠モデルから定義する. 人工知能学会第 2 種研究会資料, vol. 64.
- 福島宙輝. (2019).ワインの言語表現に関する研究動向の紹介.人工知能学会第 2 種研究会資料, 63.
- 福島宙輝. (2019). 触れる鑑賞, 味わう鑑賞にむけて. 人工知能学会全国大会論文集 第 33 回全国大会 (2019) (2K4OS16a04). 人工知能学会.
- 福島宙輝. (2019). 物語としての陶芸の鑑賞にむけて.人工知能学会第 2 種研究会資料, vol. 62, 43-46.
- 福島宙輝. (2019). 味覚・嗅覚の鑑賞に関する美学上の議論について.人工知能学会第 2 種研究会資料, vol. 61.
- 福島宙輝. (2018). 一杯の酒の多相性について. 人工知能学会全国大会論文集 第 32 回全国大会 (3B1OS22a01). 人工知能学会.
- 福島宙輝. (2018). 味の鑑賞研究にむけて.人工知能学会第 2 種研究会資料, 58, 61-67.
- 福島宙輝. (2018). 形式遮蔽法を用いたレシピコーパスにおけるオノマトペの使用機序の分析.人工知能学会第 2 種研究会資料, 60, 37-42.
- 宮本和典, & 福島宙輝. (2018). 図形と形容詞による嗜好品の重層表現の分析手法. 人工知能学会全国大会論文集 第 32 回全国大会 (3B2OS22b03). 人工知能学会.
- 福島宙輝. (2018). 味の鑑賞研究に向けて.人工知能学会第 2 種研究会資料, vol. 58.
- 福島宙輝. (2017). 感性の内省的言語化分析への第二外国語学習および翻訳分析の応用. 人工知能学会全国大会論文集 第 31 回全国大会 (2P3OS18b1). 人工知能学会.
- 福島宙輝. (2017). 味わいの言語表象における認識論の試論にむけた断片的考察: 市川浩 『< 中間者> の哲学』 を手がかりに.人工知能学会第 2 種研究会資料, 53, 55-59.
- 福島宙輝. (2017). 味わいの表現生成を支える重奏的意味づけ構造における描画表象の分析.人工知能学会第 2 種研究会資料, vol. 56, 59-68.
- 福島宙輝. (2016). 味覚を表現することばの象徴性と動機づけ. 人工知能学会全国大会論文集 第 30 回全国大会 (3M3OS20a2). 人工知能学会.
- 福島宙輝. (2016). コミュニケーションにおけるアブダクション的なメタファの考察. SIG-SLUD, 5(03), 13-16.
- 福島宙輝. (2016). スキルとしての日本酒の味覚言語化. SIG-SKL, 22(02), 6-9.
- 福島宙輝. (2016). 音象徴語は味覚表現において何を表現するために用いられるか .人工知能学会第 2 種研究会資料, vol. 51, 17-22.
- 福島宙輝. (2016). 味覚表現におけるオノマトペの形態的特徴とスコープ内共起特性分析の提案. 人工知能学会第 2 種研究会資料, vol. 52, 53-62.
- 福島宙輝. (2015). 味覚表現に見られるマルチモーダルなイメージスキーマ事例の分析.人工知能学会第 2 種研究会資料, vol. 49, 29-35.
- 福島宙輝. (2015). 味覚表現における音象徴語の機能分析. 人工知能学会全国大会論文集 第 29 回全国大会 (3G3OS05a4i). 人工知能学会.